※最新のシンダーガードの成績はこちらから。
>>【WAR】2022年エンゼルスの選手の個人成績(野手、投手)とチーム打率、チーム防御率など
※本記事は2021年11月に書いたものですが、随時更新しています。
エンゼルスはメッツからFAとなっていたノア・シンダーガード(2022年8月で30歳)の獲得を発表しました。
シンダーガードの年俸2100万ドル(24億円)はエンゼルスの歴代投手の中で最高額です。
(過去最高は2012年から5年契約を結んだCJウィルソンの5年7750万ドル=年俸17億円)
シンダーガードはメジャーを代表する投手であり、エンゼルスにとって待望のエース投手となりそうです。
それでもシンダーガードの年俸24億円は高い買い物だった可能性があります。
それは、以下の2つの理由からです。
- 2020年のトミージョン手術後、2年間で2イニングしか登板していないこと
- 1年契約であること
シンダーガードの成績。ケガ前とケガ後
投手成績サマリー
年 | 登板 | 回 | 勝 | 負 | 防御率 | WHIP | K% | BB% |
2015 | 24 | 150 | 9 | 7 | 3.24 | 1.05 | 10.0 | 1.9 |
2016 | 31 | 183 | 14 | 9 | 2.60 | 1.15 | 10.7 | 2.1 |
2017 | 7 | 30 | 1 | 2 | 2.97 | 1.06 | 10.1 | 0.9 |
2018 | 25 | 154 | 13 | 4 | 3.03 | 1.21 | 9.0 | 2.3 |
2019 | 32 | 197 | 10 | 8 | 4.28 | 1.23 | 9.2 | 2.3 |
2021 | 2 | 2 | 0 | 1 | 9.00 | 1.50 | 9.0 | 0.0 |
年 | 登板 | 回 | 勝 | 負 | 防御率 | WHIP | K% | BB% |
通算 | 121 | 718 | 47 | 31 | 3.32 | 1.16 | 9.7 | 2.1 |
K%=奪三振率、BB%=与四球率
キャリアハイとなった2016年はオールスターに初出場し、守備から独立した防御率を表すFIPが2.29、9イニングあたりの被本塁打が0.5でともにメジャートップの数字で、サイヤング賞投票8位、MVP投票19位となりました。
シンダーガードの通算防御率は3.32と優秀です。
トミージョン手術前の5年間で、既定投球回に到達したのは2回だけですが、150イニング以上投げたのは4回あり、ローテーション投手として十分な実績があります。
通算の奪三振率は9.7と高く、与四球率も2.1なのでコントロールもいいです。
メジャーでは珍しい完投も3回あり(完封2回)、長いイニングを任せることができます。
トミージョン手術後の2021年は成績が悪いですが、2イニングしか投げていないため、投手成績としては参考になりません。
※追記。クイックができず、被盗塁数が多いです。2022年5月17日時点で被盗塁数12はメジャーで断トツの1位です。(1試合2個ペース)
球種、球速
手術前の2019年のシンダーガードは速球系の球種(ストレート、シンカー)が6割を占めていました。
ストレートの平均球速は97.8マイル(157.4キロ)で、先発投手としてはメジャー屈指の速球派でした。
しかし、トミージョン手術後の2021年のストレートの平均球速は94.2マイル(151.6キロ)に落ちました。
2021年は全球種で合わせて26球しか投げていませんが、どの球種も3マイル前後(3~6キロ)は球速が落ちています。
球種 | 2019 | 2021 |
ストレート | 97.8マイル 157.4キロ | 94.2マイル 151.6キロ |
シンカー | 97.5マイル 156.9キロ | 95.2マイル 153.2キロ |
チェンジアップ | 91.1マイル 146.6キロ | 88.4マイル 142.3キロ |
スライダー | 89.1マイル 143.4キロ | 投球なし |
カーブ | 80.4マイル 129.4キロ | 投球なし |
大谷もトミージョン手術翌年はストレートの球速が落ちていましたが、手術2年後の2021年は球速が戻ってきました。
<大谷の平均球速>
球種 | 2018 | 2020 | 2021 |
ストレート | 96.7マイル 155.6キロ | 93.8マイル 151.0キロ | 95.6マイル 153.9キロ |
したがって、シンダーガードの球速も手術2年後となる2022年に戻ってくる可能性はありますが、現時点ではまだケガ前の状態に戻っていないというのが事実です。
※追記。2022年5月15日時点ではシンダーガードの球速はまだ戻ってきていません。奪三振率は2019年の9.2から2022年は6.4まで落ちています。5月15日時点で防御率は2.45と非常に優秀ですが、以前とは別人のような投球内容になっています。
<平均球速> | 2019 | 2022 |
ストレート (マイル) | 97.8 | 94.0 |
ストレート (キロ) | 157.4 | 151.2 |
単年契約なのでシンダーガードが復活しても翌年に逃げられる
シンダーガードはこれまで複数年にわたって輝かしい実績を残してきたものの、今後も手術前のような活躍ができるかどうかはわかりません。
わからないので複数年契約ではなく、1年契約にすることでエンゼルスはリスクを抑えたという考え方もあります。
しかし、復活するかどうかわからない選手に年俸2100万ドル(24億円)は高すぎるのではないでしょうか?
オプションつきの複数年契約にすべきだった
仮に復活してケガ前のような成績を残せた場合、シンダーガードは2023年には他の球団と契約を結ぶと思います。
大谷がエンゼルスに残るという前提ですが、復活したシンダーガードは6人のローテーションで回すエンゼルスには残りたくないはずです。
5人のローテーションで回すチームと比較してエンゼルスでは登板の機会が抑えられるので、年俸面でも個人成績の面でもデメリットになるからです。
ちなみに、こういう事情もあってエンゼルスには超一流の投手は来ず、実績があっても高齢だったりケガもちだったりと、何かしら問題がある投手でないと来れないと言われています。
シンダーガードがケガ前のような活躍をしてくれるなら年俸2100万ドル(24億円)なら安いです。
しかし、復活するかどうかわからず、たとえ復活しても翌年には逃げられてしまう投手に年俸2100万ドル(24億円)というのは良い賭けではないはずです。
復活できなかった場合は球団側が破棄できるようなオプションを含めた複数年契約にすべきだったと思います。
これではエンゼルスは来オフもエース候補を探さなくてならない気がします。
と、ここまで批判的な内容を書いてきましたが、いちエンゼルスファンとしてはシンダーガードがエンゼルスで投げる姿を見るのが楽しみです。
長身の速球派は見ていてワクワクします。
シンダーガードはキャリア通算6本塁打でバッティングも魅力です。
エンゼルスではほとんど打席に立つことはありませんが、インターリーグなどでホームランが見れたら嬉しいですね。(※追記。ナ・リーグでもDHが採用されたため、打席に立つことはほぼなくなりました。)
<完封+自身のホームランで1-0で勝利>
<前田健太から2本のホームラン>
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