【野球】守備指標DRSとは?シフトの影響を除外し投手、捕手も評価【守備防御点】

スポーツ

DRSとは守備防御点と翻訳されるメジャーの守備の総合指標です。

同じポジションの平均的な選手と比較して、守備で何点の失点を防ぐことができたかを表します。

スコアの目安は下表のようになっていますが、DRSは1つ1つのプレーでスコアが積み重なっていくものなので、1シーズンプレーした場合の目安であることに注意してください。

<DRSの目安>

守備力DRS
ゴールドグラブ+15
優れている+10
平均以上+5
平均0
平均以下-5
悪い-10
ひどい-15

DRSはFangraphsBaseball Referenceで確認することができます。(英語サイトです)

似たような守備指標に「UZR」がありますが、DRSは投手・捕手も評価対象とする点と、シフトの影響を個人の評価から分けて評価する点で大きく異なります。

シフトの評価はチームのDRSに含まれます。

DRSでは2020年からシフトの影響を除外

以前のDRSはUZRと同様のコンセプトでした。

すなわち、フィールドを細かく分け、どこにどういう打球が飛ぶとどのぐらいの確率でアウトになるかというデータを蓄積し、そのデータをもとに一つ一つのプレーを加点または減点していくという評価方法でした。

しかし、メジャーリーグがシフト全盛となり、フィールドのどこに打球が飛ぶとどれぐらいの確率でアウトになるかというデータがあてにならなくなりました。

2020年にDRSは大きく変更され、フィールドのどこに飛んだかではなく、実際に選手が守っている場所から見てどこに飛んだか、という観点で評価するようになりました。(内野のみで外野は従来通り)

DRSの評価項目、計算方法

DRSは、スポーツ・インフォ・ソリューションズ社(SIS)の訓練を受けたビデオスカウトが、試合の映像を見て評価します。

打球の強さの判断にはストップウォッチを使うなど、完全に主観で判断されるわけではありません。

DRSは以下の評価項目により評価され、各評価項目のスコアを足したものがいわゆる「DRS」と呼ばれます。

残念なことに、各サイトによって評価項目の名前が違うため、わかりにくいです。

<DRSの評価項目と各サイトでの呼称>

評価項目FangraphsBaseball
Reference
SIS
フレーミングrSZRszCStrike Zone
リードrCERARerCAdj ER Saved
盗塁阻止rSBRsbC/RsbPStolen Bases
バント(rBU)RbntBunts
併殺rGDPRdpGDP
送球(肩)rARMRofOF Arm
その他rGFPRgoodGFP/DME
守備範囲rPMRpmPART
シフトrTSShift Runs Saved
総合DRSRdrsTotal Run Saved
評価項目FangraphsBaseball
Reference
SIS

以下、Fangraphsの呼称、順番で各評価項目を簡単に見ていきます。

フレーミング:rSZ(RszC、Strike Zone)

rSZ(フレーミング)はキャッチャーの評価項目です。

フレーミングとはキャッチャーがミットをズラすなどして、ボール球をストライクに見せる技術です。

ストライクとコールされる回数がリーグ平均と比べて多いかどうかで評価します。

ストライクとコールされると加点されますが、加点度合いはそのボールがストライクとコールされる確率がどれくらいだったかに基づきます。

確率は、投球がどこに投げられたか、投球カウント、捕手の構えからどのぐらいズレたか、右打者か左打者かによって計算されます。

FangraphsではピッチャーにもrSZのスコアがついていますが、ピッチャーのrSZはDRSの集計には使われていません。

リード:rCERA(RerC、Adj ER Saved)

rCERA(リード)はキャッチャーの評価項目です。

これは捕手別の投手の防御率(捕手防御率)をもとに、投手陣の質を考慮して調整されたスコアです。

捕手のリードを評価するものとされますが、ノイズが大きいとも言われています。

盗塁阻止:rSB(RsbC、RsbP、Stolen Bases)

rSB(盗塁阻止)はピッチャーとキャッチャーの評価項目です。

盗塁をピッチャーの責任65%、キャッチャーの責任35%と推定して算出されます。

盗塁されにくいピッチャーは、ランナーが盗塁を試みる回数も減ると考えられることから、盗塁成功率と盗塁試行回数の両方が考慮されます。

キャッチャーのスコアの計算には投手の過去の盗塁成功率も考慮されます。

Baseball Referenceでは、ピッチャーのスコアがRsbP、キャッチャーのスコアがRsbCで分けられています。

バント:rBU(Rbnt、Bunts)

rBU(バント)はピッチャー、キャッチャー、ファースト、サードの評価項目です。

バントされた打球が、アウト(犠牲バント、ダブルプレー)、ヒット、エラーのいずれになったかをリーグ平均と比較して評価します。

FangraphsではrBUという項目だったはずですが、現在は確認できなくなっています。

併殺:rGDP(Rdp、GDP)

rGDP(併殺)は内野手の評価項目です

打球の強さやどこに転がったかをもとにダブルプレーが完成される難易度を推定し、リーグ平均と比較して評価します。

評価は打球を処理する側とファーストへ送球する側に分けて行われます。

もともとはセカンドとショートの評価項目でしたが、ファースト、サードを含めた内野手の評価項目に変わりました。

送球(肩):rARM(Rof、OF Arm)

rARM(送球、肩)は外野手の評価項目です。

ランナーが次の塁に進める可能性がある場面で、進塁するか、進塁を試みてアウトになるか、進塁をせずにとどまるかで評価します。

フライかゴロか、どこにどのぐらいの強さの打球が飛んだかを考慮しながら、リーグ平均と比較します。

ランナーが進塁せずにとどまる場合も、外野手の肩が警戒されたものとして加点されます。

その他:rGFP(Rgood、GFP/DME)

rGFP(その他)は全てのポジションの評価項目です。

他の評価項目で評価されない、良いプレーと悪いプレーが評価されます。

悪いプレーは野手の明らかなミスにより打者が出塁したり、進塁したりするもので、60種類ほどが分類されています。

良いプレーは30種類の分類ですが、アウトを取ったり進塁を防いだりという結果が伴わないものは含まれません。

例えば、難しいショートゴロをダイビングキャッチでさばいても一塁がセーフなら良いプレーにはならず、簡単なセカンドゴロをはじいても一塁をアウトにできたなら悪いプレーにはカウントされません。

この項目は主観を排除することが難しいですが、分類によってなるべく客観的な評価になるようにしています。

また、捕手の場合はパスボールやワイルドピッチを防ぐ「壁」の指標となり、ファーストの場合は難しいバウンドの送球をすくい上げる「スクープ」の指標ともなり、それぞれトータルでのDRSに与える影響が少なくありません。

守備範囲:rPM(Rpm、PART)

rPM(守備範囲)は全てのポジションの評価項目です。

この項目がDRSの肝の部分となります。

外野手

外野手の場合は、守備範囲とポジショニングの評価です。

蓄積されたデータをもとに、打球の方向、飛距離、速度、軌道からどこにどういう打球が飛ぶと何%の確率でアウトにできるかが計算できます。

アウトにするという評価1.0点から、確率的にアウトにできるだろうという期待値を引くことで、点数を出すことができます。

例えば60%の確率でアウトにできる打球に対して、アウトにできれば0.4点(1-60%)、アウトにできなければ-0.6点(0-60%)となります。

それをリーグ平均と比較して、最終的に何失点防げたかという数字に変換されます。

内野手

内野手の場合は、シフトの影響を除外するため、ポジショニングを評価しません。

ポジショニングはチームの評価とし、選手個人は守備範囲、送球で評価されます。

各要素の計算は、以下のようになります。

  • ポジショニング = B – A
  • 守備範囲 = C – B
  • 送球 = D – C
  1. 打球の情報(方向、飛距離、速度、軌道)のみから計算されるアウトになる率
  2. 打球の情報(方向、飛距離、速度、軌道)と選手が最初に守っている位置情報から計算されるアウトになる率
  3. 送球距離と打者(走者)が塁に到達する時間の情報から計算される打球を捕球した時点でアウトになる率
  4. アウトになるという評価1.0点、アウトにならないという評価0点

例えば、ピッチャーの脇を鋭く抜けていくような打球を考えます。

この打球は打球情報から、ショートの選手は20%の確率でアウトにできます。(A=0.2)

しかし、ショートはシフトであらかじめ二塁ベースよりに守っていたため、少し動けば捕球ができるので、この位置のショートがアウトにできる確率は70%でした。(B=0.7)

しかも、このショートは打球反応がいい選手で、打球にすぐに追いつくことができたため、打球に追いついた時点で、一塁送球でアウトにできる確率は90%でした。(C=0.9)

そして、この打球は実際にショートがアウトにしました。(D=1.0)

このプレーの評価は、

  • ポジショニング = B – A = 0.7 – 0.2 = 0.5
  • 守備範囲 = C – B = 0.9 – 0.7 = 0.2
  • 送球 = D – C = 1.0 – 0.9 = 0.1

となり、この選手の評価は0.3点(守備範囲0.2+送球0.1 )、ポジショニングの0.5点はチームのシフトの評価となります。

以前までのDRSでは、内野手も外野手と同様にポジショニングも個人の評価に含まれていて、この打球の場合は単純に「A」の情報から、1 – 0.2= 0.8点の計算になっていたので評価が大きく変わります。

ここでの点数は最終的にはリーグ平均と比較して、何失点防げたかという数字に変換されます。

点数はFangraphsではrPMでくくられていますが、Baseball Referenceでは守備範囲をRrange、送球をRthrow、またフライの処理をRairとし、3つ足したものをRpmとしています。

 

ややこしかったかもしれませんが、簡単に言えば、内野手は実際に守っている位置から見た時の打球で難易度が決められて評価される、と考えてください。

シフト:rTS(Shift Runs Saved)

シフト(rTS)はチーム全体での評価項目です。

先ほどのrPMの内野手のところで述べたような感じで、野手のポジショニングをチームが管理しているものとして評価しています。

他の評価項目とは違い、リーグ平均と比べるわけではないので、普通に有効なシフトがしけていればどのチームもプラスになります。

総合:DRS(Rdrs、Total Run Saved)

総合(DRS)は全ポジションの評価項目です。

これまで見てきた項目を全て足すことで求められます。

<ポジション別のDRSの評価項目>

投手捕手一、三二、遊外野
rSZ
フレーミング
rCERA
リード
rSB
盗塁
(rBU)
バント
rGDP
併殺
rARM
rGFP
その他
rPM
守備範囲
rTS
シフト
DRS
総合
投手捕手一、三二、遊外野

 

DRSはそのポジションのリーグ平均と比較して何点失点を防げたかを示します。

したがって0が平均となり、目安は以下のようになります。

<DRSの目安>

守備力DRS
ゴールドグラブ+15
優れている+10
平均以上+5
平均0
平均以下-5
悪い-10
ひどい-15

ただし、チーム全体のDRSにはシフト(rTS)が含まれ、この項目はリーグ平均と比較するものではないため、チーム全体のDRSだけは0がリーグ平均にはなりません。

DRSの注意点

最後にDRSの注意点です。

比較できるのは同ポジションのみ

選手間の比較が可能なのは、同年の同リーグの同ポジションの場合のみです。

同じ外野でもライトのDRS5点とセンターのDRS5点が同じになるわけではありません。

単純な守備の上手さならセンターのほうが上手いはずです。

ちなみにBaseball referenceの選手の総合指標WARでは、守備の指標としてDRSが採用されていますが、異なるポジション間の選手の守備を比較できるように、DRSにポジション間で補正を入れたdWARに変換して処理されています。

積み上げ系の指標なので出場イニングに左右される

DRSは1プレーごとに加点(または減点)されていくものです。

同ポジションで、出場500イニングの選手のDRSが5点、出場1000イニングの選手のDRSが6点の場合、点数では後者のほうが上ですが、単純な守備の上手さでは前者のほうが上かもしれません。

Baseball referenceでは異なるイニング間でも比較できるように、1200イニングあたりのDRSを「Rdrs/yr」として表示しています。

多くの守備機会が必要

DRSに限らず、守備の指標は打撃の指標よりも長い期間でのデータが必要になります。

打撃の指標OPS(出塁率+長打率)の1年分のデータの信頼性に相当するものは、DRSだと1年半~2年分のデータであると言われています。

また、打撃と同様、守備にも調子のいいシーズンがあったり、調子の悪い時期があるので、たった20試合、30試合のDRSでその選手の守備の上手い下手を決めつけるようなことは避けましょう。

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