※2022年のMVPのオッズはこちらから。
>> 2022年のア・リーグMVPのオッズ推移
2021年の大谷のア・リーグMVPは間違いないと言われています。
SBDのオッズでは8月以降、大谷がゲレーロJr.を引き離し、もう賭けにならないぐらいの差になっています。
関心はすでに大谷がMVPを取るかどうかではなく、1位票満票でのMVPを取れるかどうかというところにきています。
(※MVPは30人の記者投票による。各記者が1位票、2位票、…、10位票を入れる。1位票=14ポイント、2位票=9ポイント、3位票=8ポイント、…、10位票=1ポイント)
1位票を争う可能性のあるゲレーロJr.、セミエン、ペレスと大谷の主な成績を比較しました。
大谷とMVPライバルの成績
成績紹介の前に、指標の簡単な説明です。
- OPSは出塁率+長打率。チームの得点との相関が高いとされる指標。(Wikipedia)
- WARは走攻守の総合指標で、MVPに重要とされている指標。(Wikipedia)
- FIPは守備から独立した防御率とされる指標。(Wikipedia)
- WHIPは1イニングに何人のランナーを出したかの指標。(Wikipedia)
表のWARは野手WARですが、大谷だけ野手WARと投手WARの両方を記載します。
表の下段はリーグ順位で、「-」は50位以下を表します。
大谷翔平(DH/投手)
<投手成績>
勝 | 防御率 | 投球回 | FIP | WHIP | 奪三振 | K/BB | WAR |
9 | 3.18 | 130 | 3.52 | 1.09 | 156 | 3.55 | 4.1 |
29 | (3) | 38 | (6) | (4) | 19 | (9) | 7 |
()は規定投球回を満たしていた場合の順位。大谷は規定投球回(162イニング)未達でシーズンを終えています。
<打者成績>
打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 盗塁 | WAR |
.257 | 46 | 100 | .372 | .592 | .965 | 26 | 4.9 |
45 | 3 | 13 | 5 | 2 | 2 | 5 | 11 |
<リーグ1位の成績>
三塁打・盗塁死・敬遠・全体WAR(野手+投手)
ゲレーロJr.(ファースト)
打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 盗塁 | WAR |
.311 | 48 | 111 | .401 | .601 | 1.002 | 4 | 6.8 |
3 | 1 | 5 | 1 | 1 | 1 | – | 3 |
<リーグ1位の成績>
得点・本塁打・出塁率・長打率・OPS・塁打
セミエン(セカンド)
打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 盗塁 | WAR |
.265 | 45 | 102 | .334 | .538 | .873 | 15 | 7.1 |
37 | 4 | 10 | 40 | 7 | 10 | 17 | 2 |
<リーグ1位の成績>
セカンド歴代最多本塁打
ペレス(キャッチャー)
打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 盗塁 | WAR |
.273 | 48 | 121 | .316 | .544 | .859 | 1 | 5.3 |
27 | 1 | 1 | – | 5 | 16 | – | 10 |
<リーグ1位の成績>
本塁打・打点・キャッチャー歴代最多本塁打
※最終戦で野手WARが1位になったコレア(ショート)の成績も一応のせておきます。
<コレアの成績>
打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 盗塁 | WAR |
.279 | 26 | 92 | .366 | .485 | .850 | 0 | 7.2 |
16 | 33 | 22 | 9 | 24 | 17 | – | 1 |
コレアは守備での加点が大きかった選手です。特に印象に残るような記録もなく、1位票が入ることはないと思います。
※11月9日追記。MVPのファイナリストには大谷、ゲレーロJr.、セミエンが残りました。>> 2021年ア・リーグMVP全投票結果
大谷の1位票満票でのMVPは微妙か
大谷は投打でリーグ上位の成績を収めており、ベーブルース以来と言われるようなメジャー史に残る活躍をみせています。
WARも投手分と野手分を足すと断トツの1位であり、大谷のMVPは疑いの余地がありません。
ただし、1位票満票でのMVPは微妙かもしれません。
普通の年ならば大谷は1位票が満票だったと思います。
しかし今年は、ゲレーロJr.が終盤まで三冠王争いをし、セミエン・ペレスはそれぞれセカンド・キャッチャーでの歴代最多本塁打記録を更新するなど、素晴らしい成績です。
MVPは基本的に野手の賞と考えられており、投票を行う30人の記者の1人か2人くらいは、投手成績を軽視する人もいるかもしれません。
特にゲレーロJr.、セミエンは所属するブルージェイズが終盤までポストシーズン争いをしているという加点要素もあるので、ごく一部の1位票が大谷以外に流れる可能性があります。
※11月19日追記。大谷は満票でのMVP受賞となりました。
>> 2021年ア・リーグMVP全投票結果
メジャー歴代MVPで1位票満票だった選手の成績
参考として、現在の投票方式となって以降、過去に1位票満票でMVPを受賞した4人の選手の成績を紹介します。
※表の下段はリーグ順位。
1997年:ケン・グリフィーJr.(センター)
打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 盗塁 | WAR |
.304 | 56 | 147 | .382 | .646 | 1.028 | 15 | 9.1 |
15 | 1 | 1 | 16 | 1 | 2 | 28 | 1 |
<リーグ1位の成績>
得点・本塁打・打点・長打率・塁打・敬遠・WAR
2002年:バリー・ボンズ(レフト)
打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 盗塁 | WAR |
.370 | 46 | 110 | .582 | .799 | 1.381 | 9 | 11.6 |
1 | 2 | 6 | 1 | 1 | 1 | 44 | 1 |
<リーグ1位の成績>
打率・出塁率・長打率・OPS・四球・敬遠・WAR
2009年:アルバート・プホルス(ファースト)
打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 盗塁 | WAR |
.327 | 47 | 135 | .443 | .658 | 1.101 | 16 | 9.4 |
3 | 1 | 3 | 1 | 1 | 1 | 25 | 1 |
<リーグ1位の成績>
得点・本塁打・出塁率・長打率・OPS・塁打・敬遠・WAR
2014年:マイク・トラウト(センター)
打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 盗塁 | WAR |
.287 | 36 | 111 | .377 | .561 | .939 | 16 | 7.9 |
13 | 3 | 1 | 7 | 3 | 3 | 25 | 1 |
<リーグ1位の成績>
得点・打点・塁打・三振・WAR
1位票満票も納得の成績が並んでいますが、この中ではトラウトの成績が見劣りします。
トラウトにとっても満票MVPの2014年が自身のキャリアハイではなく、例えば2018年のほうが成績が良く見えます。
<2018年のトラウトの成績>
打率 | 本塁打 | 打点 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 盗塁 | WAR |
.312 | 39 | 79 | .460 | .628 | 1.088 | 24 | 10.2 |
4 | 4 | 24 | 1 | 3 | 1 | 9 | 2 |
しかし、2018年のトラウトは1位票が満票でないどころか、MVP投票では結局2位に終わりました。
このようにMVPは他の選手との比較になるので、前述したように2021年は大谷の1位票満票MVPは難しいかもしれません。
逆に考えれば、ゲレーロJr・セミエン・ペレスも他の年ならばMVPが取れたかもしれないのに、大谷に阻まれたということになりますね。
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