【メジャー】打順を左右ジグザグにする必要はあるか?【左右病】 | のびたのセミリタイア

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【メジャー】打順を左右ジグザグにする必要はあるか?【左右病】

ジグザグ スポーツ

2021年は大谷翔平が敬遠されるシーンをよく見ます。

大谷の後ろをオールスターにも出場したウォルシュにすればいいように感じますが、エンゼルスのマドン監督はそうしようとはしません。

それは大谷もウォルシュも左打者だからです。

9月22日のエンゼルスの打順を見ると、

  1. マーシュ(左)
  2. メイフィールド(右)
  3. 大谷(左)
  4. ゴセリン(右)
  5. ウォルシュ(左)
  6. スタッシ(右)
  7. ロハス(左)
  8. レンヒーフォ(両)
  9. ウォン(左)

きれいに左打者と右打者を交互に並べています。

一部ネット上では「左右病」などと呼ばれますが、このように左右ジグザグ打線にする必要は本当にあるのでしょうか?

データを見ると、たしかに左右の相性は存在しており、左右ジグザグに並べることは効果がありそうだということがわかりました。

※以下、成績は2021年9月22日時点のものです。
※OPSとは出塁率+長打率のことで、打率よりも得点との相関が高い指標です。

左右の相性により打撃成績が変わる

メジャー全体の対左右投手別の打撃成績

一般的に、

  • 右バッターは左投手が得意
  • 左バッターは右投手が得意

と言われていますが、メジャー平均のデータでもそのようになっています。

<右バッターの成績>

投手 打率 出塁率 長打率 OPS 四球率 三振率
右P .241 .308 .402 .711 7.7% 24.1%
左P .257 .328 .438 .766 8.8% 21.9%

<左バッターの成績>

投手 打率 出塁率 長打率 OPS 四球率 三振率
右P .241 .323 .415 .738 9.9% 22.7%
左P .228 .301 .355 .656 8.4% 24.8%

特に左バッターの左投手に対する長打率が低いです。

しかし、上記は平均のデータなのであまり差は大きく見えません。

各選手の対左右投手別の成績差

続いて、各選手のデータを見てみます。

右投手、左投手それぞれと100打席以上の対戦がある打者の成績を対象としました。

右バッター

対象となった右バッターは164人いました。

それぞれの対左投手の打率から対右投手の打率を引いた値をグラフにしました。

(例えば、右バッターのフレッチャーの対右投手の打率は.244、対左投手の打率は.333。対左打率ー対右打率=.089。)

右バッターの対左投手打率-対右投手打率

値がプラス、すなわち左投手のほうが得意な選手は164人中109人いました。(67%)

そのうち.050以上の差が出たのは50人でした。打率で.050も違うと大きさ差ですが、右打者の31%の選手がそうだということです。

 

続いてOPSの差のグラフです。

右バッターの対左投手OPS-対右投手OPS

値がプラス、すなわち左投手のほうが得意な選手は164人中119人いました。(73%)

そのうち.100以上の差が出たのは75人でした。OPSで.100も違うと大きさ差ですが、右打者の46%の選手がそうだということです。

左バッター

同様にして左バッターについても見てみます。

対象となった左バッターは53人いました。

打率の差のグラフです。

左バッターの対右投手打率-対左投手打率

値がプラス、すなわち右投手のほうが得意な選手は53人中29人いました。(55%)

そのうち.050以上の差が出たのは16人でした。(30%)

 

続いてOPSの差のグラフです。

左バッターの対右投手OPS-対左投手OPS

値がプラス、すなわち右投手のほうが得意な選手は53人中38人いました。(72%)

そのうち.100以上の差が出たのは26人でした。(49%)

 

まとめると、

  • 右バッターは左投手が得意
  • 左バッターは右投手が得意

は事実であり、50%近くの選手は左右の投手別でOPSが.100以上も変わるという結果でした。

右打者だけ、左打者だけを連続させてしまうと、左右の相性によって連続して凡退しやすくなる可能性があり、ジグザグ打線はそれを防ぐことができます。

打者が左右の相性を苦にしなくとも、投手で左右の相性に非常に強い場合がある

一般的には左右の相性はたしかにあるのですが、上記のグラフでも一部の打者は左右の相性を苦にしていません。

大谷もそうです。

  • 対右打率.258、対右OPS.957
  • 対左打率.253、対左OPS.941

>> 大谷の最新の左右投手別成績

このぐらいの差ならば左右の相性を気にする必要はなく、大谷の打順の前後に左バッターを置いてもよさそうです。

しかし、打者が左右の相性を苦にしなくとも、投手で左右の相性にめっぽう強い選手がいます。

 

パドレスのヒルは変則リリーフ左腕で今季70試合に登板しています。

ほとんどの場合、左バッターの場面で登場してきます。

  • 対右被打率.253、対右被OPS.771
  • 対左被打率.183、対左被OPS.563

また、元エンゼルスの左腕キンタナは、先発でも中継ぎでも何度も炎上した投手でした。

しかし、実は今季の左打者への成績は非常に優れています。

  • 対右被打率.341、対右被OPS.984
  • 対左被打率.147、対左被OPS.478

大谷が左投手を苦にしないからといって、左打者の間に大谷を入れるような打線にしてしまうと、ヒルやキンタナのような左バッターに異常に強い投手が出てきて厳しくなります。

このような場合も考えるとジグザグ打線は有効だと言えそうです。

ワンポイント継投の禁止によりジグザグ打線のメリットが大きくなった

また、メジャーでは2020年シーズンからワンポイントリリーフが禁止となりました。

以前はジグザグ打線にしても、大事な終盤ではヒルのようなピッチャーがワンポイントで出てくるので、ジグザグの意味がないこともありました。

しかし、ワンポイントが禁止となり、基本的には投手は打者3人と対戦しなければいけなくなりました。

ジグザグ打線にしておくことで、必ず左右の相性のいい打者が回ってくることになったため、ジグザグのメリットは大きくなったと考えられます。

 

ここまでジグザグ打線が効果的であることを説明してきましたが、最後にもう1つデータを紹介します。

チームOPSが.793でメジャートップのブルージェイズは、毎日1番~6番ぐらいまで右打者を並べています。

 

ジグザグでなくともいいのです。

>> 2021年のメジャーの打順別の成績。最強打者は3番

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