2021年前半戦は打撃が絶好調だった大谷ですが、後半戦に入ると調子を落としました。
特に、7月29日から8月10日までの13試合はホームランもゼロで、スランプといった感じになりました。
<前半戦の成績>
打率 | 本塁打 | 打点 | OPS | 出塁率 | 長打率 |
.279 | 33 | 70 | 1.062 | .364 | .698 |
<7/29~8/10の成績>
打率 | 本塁打 | 打点 | OPS | 出塁率 | 長打率 |
.139 | 0 | 1 | .545 | .295 | .250 |
不調の原因は外角攻め?
大谷の不調の要因として言われるのが、相手ピッチャーが四球覚悟で外角の厳しいコースに投げているというものです。
トラウトやレンドン、ウォルシュが離脱していたため、相手からすると大谷よりも後ろの打者と勝負するほうが楽です。
大谷はボール球を見極める我慢が必要になり、たとえストライクゾーンでも厳しい球に対応しなければならず、調子を崩しやすくなります。
前半戦は外角攻めに対応できていた
しかし、実は大谷は不調になる前から外角攻めをされています。
そして、それに対応できていました。
下図はホームランを量産していた6月8日から7月11日までの大谷への配球です。(単位は%)
※ちなみにこの1か月強で、大谷は17本のホームランを打っています。
続いて、ホームランを打てなかった7月29日から8月10日までの大谷への配球です。(単位は%)
内角低めが減ったぐらいで、それほど大きな違いはありません。
このように前半戦も大谷は外角攻めをされており、それでもホームランを打っていました。
レッドソックス戦でのインコース攻め
ただし、前半戦もずっとアウトコース中心だったわけではありません。
7月5日から7月7日までのレッドソックスとの3連戦で大谷は、インコース攻めを徹底されました。(Baseball Savantより引用)
今までこのような攻め方をしてきたチームはなく、この3連戦で大谷はホームランを1本打ったものの、13打席で5三振でした。(三振率38.5%)
大谷は三振が多い打者ですが、絶好調だった6月8日からレッドソックス戦前の7月4日までの三振率は25.3%でした。
このレッドソックス戦後の7月9日から7月31日までは三振率が42%に増加しています。
レッドソックス戦でのインコース攻めにより、何かがおかしくなってしまった可能性があります。
後半戦は95マイル以上の速球が打てない
もう1つ気になるデータとして、大谷は速球が打てなくなりました。
95マイル(約153キロ)以上のボールに対する、4月1日から7月4日までの成績は以下のようになっています。
<4/1~7/4の95マイル以上の投球への成績>
投球 | 打席 | 安打 | 本塁打 | 打率 | 三振 | 三振率 |
176 | 42 | 9 | 6 | .257 | 11 | 26.2% |
これは年間600打席まわってくるとすると、85本塁打を記録するとんでもない成績で、大谷はもともとは速い球にめっぽう強い選手でした。
しかし、前述したレッドソックス戦でのインコース攻め後、大谷は速球が全く打てなくなりました。
<7/5~8/10の95マイル以上の投球への成績>
投球 | 打席 | 安打 | 本塁打 | 打率 | 三振 | 三振率 |
62 | 11 | 0 | 0 | .000 | 9 | 81.8% |
打席が少ないとはいえ、三振率81.8%は異常です。
実は2021年の大谷への投球の速球比率は48%ほどで、これはメジャーで一番低いです。
したがって大谷は変化球を待っている可能性があり、その結果、特に速い95マイル以上のボールに対応できていないのかもしれません。
それでも95マイル以上のボールは、大谷への全投球の約15%を占めています。
再び前半戦のようにホームランを量産するためには、速い球への対応もカギになってくるでしょう。
※9月23日追記。依然として95マイル以上の球が打てません。しかし、9月21日の試合では93.8マイル(151キロ)のストレートをホームランにしました。ストレートをホームランにするのは今季12回目で、7月28日以来となります。復調の兆しとなるか注目です。
<7/5~9/21の95マイル以上の投球への成績>
投球 | 打席 | 安打 | 本塁打 | 打率 | 三振 | 三振率 |
151 | 38 | 2 | 0 | .063 | 24 | 63.2% |
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