2022年のメジャーリーグは飛ばないボールの導入により、記録的な打低であるという記事を書きました。
>> 2022年MLBは歴史的な打低。原因の飛ばないボールは大谷タイプの打者に影響大
上記記事を書いた5月9日時点ではメジャー平均が、
- 打率.233
- 長打率.371
でしたが、本記事を書いている5月27日時点ではメジャー平均が、
- 打率.238
- 長打率.383
まで上がってきました。
4月と5月で比較するとその差がさらにはっきりします。
打率 | 長打率 | |
4月 | .231 | .369 |
5月 | .244 | .395 |
これだけだと、開幕の準備期間が短くて仕上がりの遅れやすい打者が徐々に調子を上げてきた、とか、逆に投手が連戦や気温の上昇などの影響で疲弊してきた、というような原因も考えられます。
しかし、予測打率(xBA)や予測長打率(xSLG)を見ると、どうもまたボールが飛び始めているような感じがあります。
5月半ばからボールが飛び始めている
Statcastでは過去の統計データにより、ある打球がその打球速度と打球角度からどのぐらいの確率でヒットになるかがわかります。(予測打率、予測長打率)
2021年の実際の打率と予測打率、実際の長打率と予測長打率がほぼ一致しているように、本来は精度が高いものでした。
実際の打率 | 予測打率 | 実際の長打率 | 予測長打率 | |
2021 | .244 | .243 | .411 | .408 |
しかし、2022年に飛ばないボールが導入されると、実際の打率と予測打率、および実際の長打率と予測長打率に大きな差が出てきました。
その差が5月半ばごろから、急速に縮まっています。
※以下、1週間ごとのデータの推移で、4/7は4/7~4/13までのデータという意味です。
週 | 実際の打率 (BA) |
予測打率 (xBA) |
BA-xBA |
4/7 | .230 | .253 | -0.023 |
4/14 | .231 | .250 | -0.019 |
4/21 | .233 | .250 | -0.017 |
4/28 | .236 | .258 | -0.022 |
5/5 | .241 | .254 | -0.013 |
5/12 | .239 | .252 | -0.013 |
5/19 | .252 | .257 | -0.005 |
週 | 実際の長打率 (SLG) |
予測長打率 (xSLG) |
SLG-xSLG |
4/7 | .382 | .452 | -.070 |
4/14 | .357 | .423 | -.066 |
4/21 | .368 | .422 | -.054 |
4/28 | .374 | .444 | -.070 |
5/5 | .385 | .441 | -.056 |
5/12 | .400 | .438 | -.038 |
5/19 | .406 | .435 | -.029 |
打率、長打率の上昇が、単純に打者が調子を上げてきた、投手が調子を落としてきたという要因ならば、打球速度と打球角度から求められる予測打率や予測長打率との差が縮まるのはおかしいです。
振り返れば、いろいろなメディアで5月頭ごろからボールが飛んでいないと騒がれていました。
そして5月10日にはエンゼルスのまだ実績のないデトマーズ投手がノーヒットノーランを奪三振数わずか2つで達成するということも起きました。
今回のデータは、そのあたりから飛ぶボールを混ぜ始めているのではないかと邪推したくなるようなデータでした。
実際はどうかわかりませんが(たぶんそんなことしてない)、個人的には打撃戦のほうが楽しいので去年並みに戻してほしいところです。
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