エンゼルスのトラウトは2022年シーズンを、
- 打率.283
- ホームラン40本
- OPS.999
と、いつものような好成績を残しました。
飛ばないボールが導入されたシーズンにあって、出場119試合でホームラン40本塁打以上は史上4人目の記録ということで、8月に31歳になったトラウトですがますます進化しているように見えます。
しかし、その一方で衰えの兆候を見せ始めたようなデータもありました。
それは三振率の増加と四球率の低下です。
(※データはBaseball Savantのものを使用しています。)
空振りが増えてきたトラウト
トラウトは昔から三振が多いバッターで、2014年にはリーグワーストとなる184三振を記録しています。
ただし、これはトラウトがボールを待つタイプの選手ということも関係しており、空振り率(Whiff%)自体はメジャー平均を下回っていました。
トラウトは出場36試合に終わった2021年に自己ワーストとなる28.1%の三振率を記録しましたが、2022年も27.9%と2年連続で自己ワースト級の高い三振率となりました。
そして空振り率も2021年、2022年と急激に増加していき、メジャー平均を大きく上回っています。(メジャー平均は24.7%)
球種で見ると速球系での空振りが目立つようになり、2022年は特にストレートの空振り率が30.9%と非常に高くなっています。
ただ、今シーズンのトラウトは胸郭の炎症由来の背中の痙攣の問題を抱えていたため、ケガのせいで空振りが増えていた可能性もあります。
選球眼が落ちてきたトラウト
トラウトは四球率の高い選手で、毎年のようにメジャートップクラスの四球率を記録しています。
それを可能にしているのは選球眼の良さで、ボール球のスイング率を表すチェイス率はメジャーでもトップクラスに低い選手でした。
2022年のチェイス率も依然としてメジャー上位クラスに低い数字ではあるものの、最近のトラウトと比較すると高いです。(メジャー平均は28.4%)
そして敬遠を除いた四球率を見ると、2022年は9.2%で10年ぶりに10%を切りました。
トラウトと同じように若い頃から素晴らしい成績を安定して残してきた選手として、今年引退したプホルスがいます。
プホルスの四球率(敬遠除く)が落ち始めたのは2011年ごろからですが、ちょうどそのころから打撃の総合指標であるwRC+も落ち始めています。
(※wRC+は1打席あたりの得点創出力を、リーグ平均と比較して傑出度として表したもの。例えばwRC+が120ならば、リーグの平均的な打者と比較して得点創出力が20%高いという意味)
当然と言えば当然ですが、選球眼が悪化すれば四球率が落ちるだけでなく、ボール球を打つせいで他の打撃成績も悪化してしまいます。
ちなみにプホルスの四球率が落ちた2011年はプホルスが31歳のシーズンであり、8月に31歳となったトラウトはちょうど同じ年齢に差し掛かかっています。
まとめ。トラウトは目が衰えてきたのではないか
トラウトは2022年に三振が増えましたが、特に速球系での空振りが目立ちます。
動体視力が落ちて速い球に対応できなくなってきた可能性があります。
同時に、チェイス率が増えて四球率が減っていることも、目が衰えてきた証拠ではないでしょうか。
いつも変わらないコンパクトなスイングで淡々と同じような好成績を残してきたトラウトは、一部ネット上で「野球マシン」と呼ばれることもありますが、もちろんトラウトは人間です。
素晴らしい成績を残した今シーズンも、振り返れば自己ワーストの26打数ノーヒットなど好不調の波が激しかったです。
30歳を超えてプホルスが衰えたように、トラウトもついに衰え始めてきたのかもしれません。
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