後半戦はバッターとしての調子が上がらない大谷。
こちらの記事「2021年後半戦の大谷翔平の打撃不振の原因を考える」では、後半戦の大谷は、得意だった速球が打てなくなったというデータを紹介しました。
これとは別に、後半戦の大谷の変化でもう1つ気になるデータがあります。
それは、「引っ張る方向への打球が増え、これまで多かったセンター方向へのホームランが減っている」というものです。
後半戦の大谷は引っ張る打球が増加
8月9月は引っ張る打球が57%
データサイトFanGraphsによると、8月1日から9月9日までの引っ張り方向への打球は57%でした。
7月末までは43%だったので、14%増加していることになります。
引っ張り方向 | センター方向 | 逆方向 | |
開幕~7/31まで | 43% | 33% | 24% |
8/1~9/9 | 57% | 24% | 19% |
変化 | +14% | -9% | -5% |
「2021年後半戦の大谷翔平の打撃不振の原因を考える」でも紹介しましたが、大谷への配球は前半戦も後半戦もアウトコースが中心となっています。
したがって、大谷は外のボールを無理に引っ張ってしまい、調子が上がらなくなっている可能性があります。
引っ張るとシフトにはまりやすい
また、大谷は引っ張り方向にシフトをしかれるので、引っ張る打球が多いと、いい当たりを打ってもシフトにはまりやすくなります。
BABIP(インプレー打率)という「本塁打以外の打球が安打になった割合」を表す指標があります。
BABIPは能力よりも運の要素が大きく、打席を重ねると一定の値に収束していく傾向があります。(平均は.300ぐらい)
大谷の8月9月のBABIPは大きく下がっています。
<大谷のBABIP>
- 開幕~7/31まで .318
- 8/1~9/9まで .242
単純に運が悪かっただけの可能性もありますが、引っ張り方向の打球が増え、シフトにはまりやすくなったという要因もあるかもしれません。
大谷のセンター方向へのホームランが激減
引っ張る打球が多くなっているので当然かもしれませんが、大谷のセンター方向へのホームランが減少しています。
もともと大谷は、一部ネット上で「岩ムラン」と呼ばれるようなセンター方向へのホームランが多いバッターでした。
引っ張り方向 | センター方向 | 逆方向 | |
2018 | 7本 | 12本 | 3本 |
2019 | 3本 | 8本 | 7本 |
2020 | 1本 | 4本 | 2本 |
2021 | 23本 | 15本 | 5本 |
しかし、2021年は開幕から7月末までの4か月でセンター方向へのホームランが14本あったのに対し、8月からの1か月強では1本しか出ていません。
引っ張り方向 | センター方向 | 逆方向 | |
開幕~7/31まで | 18本 | 14本 | 5本 |
8/1~9/9 | 5本 | 1本 | 0本 |
そもそもホームラン自体が減っているからだと思うかもしれませんが、引っ張り方向へのホームランは18本→5本なので、対象期間を考えるとそれほど減っていません。
必ずしも「引っ張るから悪い」とは言えませんが、得意のセンター方向への「岩ムラン」が見れるようになると、またホームランが増えてくるかもしれません。
※岩ムラン=本拠地エンゼルスタジアムの外野スタンド中央からレフト方向にある岩場にホームランを打つこと
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