エンゼルスの試合は守りの時間が長く、見ているのがつらくなることがあります。
エンゼルスは投手が炎上し、守備もミスをしがちなので、守りが長くなるのは仕方ありません。
しかしそれに加えて、エンゼルスの攻撃の時間が短すぎることも、守りの時間を長く感じさせる要因となっています。
エンゼルスは8月13日時点で、メジャー30球団中でチーム打率が6位、チームOPSが12位なのでメジャーでもそこそこ上位の打線です。
それでも攻撃があっさりしてしまう理由は、早打ちが多いためです。
※以下、データは2021年8月13日時点のものです。「被投球数」「四球率」は打者からみての「球数」「四球率」を表しています。
エンゼルスのチームとしての被投球数と四球率
エンゼルスのチームとしての1打席あたりの被投球数は3.82球で、メジャー30球団中で3番目に少ないです。
また、チームとしての四球率は7.34%でメジャーで2番目に少ないです。
ヤンキースやドジャースの四球率は10%を超えており、そうしたチームと比較すると、エンゼルスは1試合あたり1つ四球が少ないことになります。
エンゼルスの各選手の被投球数と四球率
エンゼルスで2021年シーズンに35打席以上たっている選手の被投球数と四球率をまとめました。
選手 | 1打席あたりの 被投球数 |
四球率 |
アデル | 4.38 | 8.10% |
トラウト | 4.30 | 18.50% |
マーシュ | 4.18 | 11.80% |
アプトン | 4.16 | 11.10% |
大谷翔平 | 4.14 | 12.40% |
レンヒーフォ | 4.08 | 3.30% |
スタッシ | 4.05 | 8.30% |
イートン | 3.92 | 3.10% |
ウォルシュ | 3.86 | 6.50% |
レンドン | 3.83 | 11.60% |
ロハス | 3.82 | 5.80% |
メイフィールド | 3.75 | 4.20% |
カートスズキ | 3.73 | 4.40% |
ゴセリン | 3.72 | 7.40% |
ラガレス | 3.72 | 3.50% |
ウォード | 3.69 | 8.20% |
イグレシアス | 3.64 | 3.80% |
ウォン | 3.45 | 2.30% |
フレッチャー | 3.24 | 4.40% |
フレッチャーはメジャーで一番の早打ち打者
メジャー全体では140人が規定打席に到達していますが、その平均の1打席あたりの被投球数は3.92球です。
エンゼルスでは、大谷、ウォルシュ、イグレシアス、フレッチャーの4人が規定打席に到達しており、それぞれの1打席あたりの被投球数の順位はメジャー140人中、
- 大谷:20位
- ウォルシュ:86位
- イグレシアス:129位
- フレッチャー:140位(最下位)
です。
これはイグレシアスとフレッチャーがメジャーでもかなりの早打ちという意味ですが、129位のイグレシアスが3.64球に対し140位のフレッチャーが3.24球と、この2人の中でも差があります。
フレッチャーの3.24球というのは、メジャーの中でも極めて少ない数字であり、フレッチャーはメジャーきっての早打ち打者です。
エンゼルスは四球を選べる選手が少ない
また、メジャー全体の四球率は8.78%なので、四球率の目安としては以下のようになります。
- 四球率10%以上:選球眼が良い、粘れる
- 四球率5%以下:選球眼が悪い、早打ち
<四球率10%以上の選手>
- トラウト
- 大谷
- マーシュ
- レンドン
- アプトン
トラウトの四球率18.5%はメジャーでもトップクラスの数字ですが、マーシュ、アプトン、レンドンといった打撃の調子が上がらず批判されがちな選手も、しっかり四球を選んでいます。
<四球率5%以下の選手>
- カートスズキ
- フレッチャー
- メイフィールド
- イグレシアス
- ラガレス
- レンヒーフォ
- イートン
- ウォン
エンゼルスは四球を選べない打者のほうが多く、四球率10%以上の5人を除くと、全員メジャー平均の8.78%を下回っています。
早打ちはダメなのか?積極打法に優位性はない
当然と言えば当然ですが、被投球数が多ければ四球率も高くなる傾向があります。
下図は横軸にメジャー30球団の被投球数、縦軸に四球率をとったものです。
球を多く見れば四球が増えるだけでなく、投手の球数も増えるので、たとえ優秀なピッチャーを打ち崩せなくともマウンドから早くおろせる可能性があります。
一方で、「積極的に打っていく」という言葉を、選手や解説者がいい意味として使うことがあります。
追い込まれてからだと、ゾーンを広めに対応せざるをえなくなり、ボール球にも手を出しやすくなります。
早いカウントで狙った球を打っていくというのは、理にかなっているように感じます。
しかし、実際には早打ちに優位性は見られません。
下図は横軸にメジャー30球団の被投球数、縦軸に長打率をとったものです。
被投球数と長打率に相関はなく、積極的に打っていけば打撃成績が上がるわけではありません。
前述したように、じっくり球を見ていけば四球を選べる可能性が増えますし、何よりファンとして、応援しているチームの攻撃が数球であっさり終わってしまうのは悲しいです。
エンゼルスの各打者には、もう少し粘り強い打撃をしてほしいところです。
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