2022年5月12日時点で打率.367、7本塁打、17打点、OPS1.199とメジャートップクラスの成績となっているウォード。
※最新のウォードの成績はこちら。
>> 【WAR】2022年エンゼルスの選手の個人成績(野手、投手)とチーム打率、チーム防御率など
ウォードはもともと打撃が期待されてきた選手ですが、2022年にさらに飛躍した要因は「選球眼」にありそうです。
※以下、データは2022年5月12日時点のStatcastのものです。
ウォードの打撃内容を2021年と2022年で比較
まず、ウォードの2021年と2022年の成績を比較してみます。
打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | 本塁打% | バレル率 | |
2021 | .250 | .332 | .438 | .769 | 3.4% | 10.3% |
2022 | .367 | .490 | .709 | 1.199 | 7.1% | 15.5% |
2022年は本当に素晴らしい数字が並んでおり、この中で長打率以外の項目は2022年メジャーでトップです。
(※バレル率:打球速度、打球角度から計算される長打になりやすい打球率)
ただ、打球速度やフライ/ゴロの比率などにはあまり変化がなく、スイング等が変わったというよりは、打席の中でのアプローチが変わった可能性が高いです。
打球速度 | ハードヒット率 | ゴロ率 | フライ率 | ライナー率 | |
2021 | 89.6 | 39.7% | 38.5% | 29.5% | 27.6% |
2022 | 87.6 | 39.7% | 39.7% | 31.0% | 24.1% |
※追記。打撃フォームは手の位置、足のあげ方、ステップ幅など、いろいろ変わってました。(Bally Sports West中継映像より)
ボール球に手を出さず、打つべき球を打つようになったウォード
そのことが以下の項目に現れています。
三振率 | 四球率 | ゾーン スイング% |
チェイス% | |
2021 | 23.2% | 8.4% | 67.5% | 25.1% |
2022 | 21.4% | 19.4% | 58.7% | 15.9% |
2022年の四球率19.4%はメジャー上位1%、ボール球のスイング率(チェイス率)は15.9%でメジャー上位2%としっかり我慢できています。
そしてウォードは単純にボール球を振らないだけでなく、ストライクゾーン内でも打つべきボールを選んでいます。
下図で緑の枠内がストライクゾーンですが、2021年はストライクゾーンに来た球は何でも振っていたことがわかります。
<2021年のウォードのゾーン別スイング率>
一方、2022年はボール球だけでなくストライクゾーンでも見逃すことが多くなり、特に外側のボールはゾーン内でもスイング率が低いです。
<2022年のウォードのゾーン別スイング率>
実はゾーン内であっても外側は打率が低くなります。
下図はメジャーの右打者のゾーン別打率です。
<2022年のメジャーの右打者のゾーン別打率>
このようにウォードはボール球には手を出さずに四球を選びつつ、ストライクゾーンの中でも真ん中から内側の打ちやすいボールをスイングしていくことで、長打を量産しているものと思われます。
言ってしまえば「好球必打」なのですが、これはもともとのウォードの持ち味でした。
ウォードはプロ1年目のルーキーリーグ時代から選球眼に優れており、マイナー通算で四球率13.7%と高い数字を記録していました。
メジャーでの四球率は2021年まで通算で8.1%と普通の数字に落ちていましたが、原点回帰でしっかり待って打てる球を打つことで、2022年についにブレイクしました。
2022年のウォードのBABIP(インプレー打率)は.431と高すぎるので、今後は成績がある程度は落ちてくるものと思われますが、この好球必打を続けていれば大崩れはなさそうです。
トラウト、大谷、レンドン、ウォルシュとビッグネームが並ぶエンゼルス打線にもう1人強打者が加わったことになります。
※BABIP:ホームランと三振、四球以外の打球、つまりフィールド内に飛んだ打球の打率。平均すると.300ぐらいに落ち着くため、短期的な運の指標とされる。1シーズンを終えて.400を超えることはほとんどない。
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