日本ではストライク判定への態度をめぐり、佐々木朗希と白井球審の騒動が話題になりました。
メジャーリーグでも打者・大谷翔平が球審のストライク、ボールの判定に不満を示すシーンが見受けられます。
Justin Verlander freezes Shohei Ohtani AGAIN! He's struck him out in all three at-bats tonight pic.twitter.com/zaI0nkOTqX
— Talkin’ Baseball (@TalkinBaseball_) April 10, 2022
大谷が不満げなリアクションをとると、ファンからすれば「大谷かわいそう」「審判ひどすぎ」という気持ちになってしまいますが、審判批判を行う前にまず本当に誤審だったのかを確認すべきです。
本記事では、
- ストライク、ボールの判定が本当に誤審だったのかを確認する方法
- メジャーの球審のゾーンには偏りがあり、大谷だけが不利な判定を受けているのではないこと
を紹介します。
ストライクゾーンはMLB公式サイトのGAMEDAYで確認できる(ガメデ)
MLB公式サイトの「GAMEDAY」では一球速報が行われており、投球がストライクゾーンだったかどうかをほぼリアルタイムで確認できます。
(「GAMEDAY」の読み方は「ゲームデー」ですが、ごく一部の人からは「ガメデ」と呼ばれています)
GAMEDAYの確認方法です。
MLB.comのスコアのページに行き、見たい試合をタップします。(パソコンの場合は見たい試合の「Gameday」をクリック)
下の画像のような感じで、今対戦しているバッターへの全球がどこに投げられたかを確認できます。
また、リアルタイムではなく、例えば4回表の先頭バッターへの全球を確認したいという場合は、「Plays」→「ALL Plays」→「4」と進んでいき、先頭バッターの打席結果である「SINGLE」(シングルヒット)をタップします。
ストライクゾーンのマークをタップすると、投球結果を確認できます。
ちなみにこの四角いストライクゾーンを少しでもかすっていれば、ストライクと判定されることになります。
冒頭のツイートはバーランダーが大谷を4球目で見逃し三振に抑えたシーンですが、この球はストライクゾーンをかすっているので、ストライクとコールされておかしくないのです。
このように、テレビ中継を見ていると「どこ見てんだクソ審判」と言いたくなるような判定でも、そのあと「GAMEDAY」を見に行くと「審判よく見てるな」と感心してしまうことが頻繁にあります。
メジャーのストライクゾーンは外が広い
ストライクゾーンをかすっていればストライクとコールされるべきなのですが、実際にはかすっているコースによって判定にバラつきがあります。
下図の11~19はストライクとボールの境界となるゾーン(Shadow)です。(緑の点線がストライクゾーン)
この境界ゾーンへの投球がストライクと判定されるかボールと判定されるかは、キャッチャーのフレーミングと呼ばれる技術の評価指標にも利用されます。
Statcastで調べたところ、2021年のMLB全体の境界ゾーンのストライク判定率は48%でした。(ストライクとコールされた全球÷見逃した全球)
ただし、境界ゾーンの中でもストライク判定率にはバラつきがあり、四隅はストライク判定率が低くなります。
<MLB全体>
そして左右別に見ると、外側で高さが真ん中のゾーンでストライク判定率が高くなることがわかります。
<右打者>
<左打者>
こうしたことからメジャーの審判のストライクゾーンは、外が広いと言われることがあります。
大谷のストライクゾーンはメジャーの平均的なストライクゾーンと変わらない
ここで打者・大谷の境界ゾーンのストライク判定率を見てみます。
<大谷>
<MLB左打者全体>
大谷の境界ゾーンのストライク判定率は48%なので、MLB全体の境界ゾーンのストライク判定率48%と同じです。
境界ゾーンのストライク判定率の分布も、メジャーの左打者全体の分布とほとんど変わりません。
したがって、データからは大谷だけが特別に不利な判定を受けているとは言えません。
私も大谷の打席を見ていて「審判コノヤロウ」と思うことはありますが、そういう判定もメジャーリーグでは普通のことなのです。
最近は大手メディアでも大谷だけが不利な判定を受けているとする記事を書いていますが、あまり根拠はなくテレビを見た印象で語っているような記事が多いです。
審判を敵視することで大谷ファンからのアクセス数を稼ぎやすいのだと思いますが、真の大谷ファンならばそういう扇動的な記事に惑わされずに、冷静な視点で応援してあげるべきだと思います。
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