大谷とし烈なホームラン王争いを展開するサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)。
8月に12本のホームランを量産した勢いは衰えず、9月も最初の4試合で3本のホームランを打っています。
これだけ打てば当然相手ピッチャーも警戒するので、本来はまともに勝負してもらえず、四球が増えるぶんホームランも減ってくるはずです。
しかしペレスは「フリースインガー」タイプであるため、ことホームラン王争いにおいては脅威の存在となってきます。
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ペレスはフリースインガーで四球が少ない
ホームランバッターは強振するので三振率が高くなるイメージがあります。
ペレスも三振率は高く、同じくホームランバッターの大谷や、エンゼルスのトラウトも三振率は高いです。
しかし、ペレスと大谷・トラウトではタイプが違います。
<9月5日時点の三振率と四球率>
三振率 | 四球率 | |
ペレス | 26.0% | 3.8% |
大谷 | 30.6% | 13.0% |
トラウト | 28.1% | 18.5% |
メジャー平均 | 23.4% | 8.7% |
大谷とトラウトは球を見るタイプなので四球率が高いです。トラウトの四球率はメジャートップクラスです。
一方、ペレスは積極的にスイングしていく「フリースインガー」タイプのため、四球率は低く、規定打席に到達している選手の中では下から2番目です。
特にペレスのストライクゾーンから外れたボールのスイング率は49.1%で、規定打席に到達している選手の中で一番高いです。
<9月5日時点のスイング率>
ゾーン外の スイング率 | ゾーン内 のスイング率 | |
ペレス | 49.1% | 78.5% |
大谷 | 30.7% | 72.7% |
トラウト | 22.1% | 63.4% |
メジャー平均 | 31.2% | 68.8% |
ペレスはメジャーを代表するフリースインガーなのです。
ペレスはボール球で攻められてもホームランを打つ
ペレスがフリースインガーであることは対戦ピッチャーも理解しているので、ペレスへの投球はボール球中心になります。
下の画像は、7月末までのペレスへの配球です。(単位は%)

7月末までのペレスへの配球
外角低めへのボール球が多いです。
これが、ホームランを量産し始めた8月ごろからさらに顕著になります。
下の画像は、8月18日から9月5日までのペレスへの配球です。(単位は%)

8月18日から9月5日までのペレスへの配球
普通はこれだけ外のボール球で攻められると、調子が崩れたり、少しボールを待つようになるはずです。
しかし、ペレスはフリースインガーらしく積極的に振っていきます。
8月18日から9月5日までにペレスは11本のホームランを打っていますが、このうち6本はゾーンギリギリかまたはボール球でした。
(以下の画像は各打席の配球で、一番大きな数字(青)がホームランとなったコース)
<8月20日第31号>
<8月23日第33号>
<8月27日第36号>
<9月4日第39号>
<9月4日第40号>
<9月5日第41号>
内でも外でもきわどいコースを、時には初球からホームランにされてしまうのは、ピッチャーからしたらたまったものではありません。
<39号と40号の動画>
フリースインガーはホームラン王争いに有利
もちろんボール球を全部ホームランにできるわけではないので、確実に四球を選ぶほうがチームの得点に貢献できる可能性は高いと思います。
ペレスと大谷、トラウトでは打撃の総合指標であるwRC+にはっきりと差が出ています。
(※wRC+は100を基準とし、平均的な打者と比較して打席あたりにどれだけ得点を生み出せたかをパーセントで表したもの。例えばwRC+が128ならば、平均的な打者より28%多く得点を生み出すということ)
<9月5日時点の打撃指標>
打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | wRC+ | |
ペレス | .277 | .316 | .545 | .861 | 128 |
大谷 | .260 | .359 | .618 | .977 | 157 |
トラウト | .333 | .466 | .624 | 1.090 | 192 |
メジャー平均 | .243 | .316 | .409 | .725 | 97 |
したがって、必ずしもフリースインガータイプの打者が優れているとは言えません。
しかし、とにかく振っていくスタイルは、大谷のホームラン王争いにおいては最も脅威となるタイプかもしれません。
9月5日時点で、打席数はペレスが551、大谷が532とそれほど差はありませんが、打数はペレスが517、大谷が458と、大谷は四球を選ぶぶん打数が少なくなってしまいます。
ペレスにはおとなしく四球を選んでほしいですし、大谷にはペレスに負けずに積極的にホームランを狙っていってほしいところです。
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